brilliant lee

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    この釣りを始めた頃、毎週休みとなると津久井湖へ通っていた。20年近く前の話。雪が降ろうと、大雨でずぶ濡れになろうと、真夏の過激で危険な太陽に灼かれようと悪天候でレンタルが中止になる以外は。
    兎に角少しでも上手くなってもっと魚を釣りたいと。楽しくて楽しくて夢中だった。
    釣れなくてもキャストの練習だったり、ルアーの動かし方だったり、エレキの操船技術の向上であったり湖に浮く理由など何でもよかった。
    今のようにネットなどの情報も殆ど無い中、自分のやり方は本当にこれで合っているのかと疑問を感じつつも湖に行っては投げ続けた。右も左もわからないのだから魚を釣り上げるなんてまぐれか偶然かというレベル。



    そんな頃からもスイッシャーが竿先に結ばれる機会は実に多かった。
    いかにもな場所では首振りでじっくり誘ったり、深場や絞りきれない場所ではジャークであったり、岬や回収時にはゆっくりただ巻くだけ。
    岩盤では岸ギリギリにスイッシャーを投げる。当時も今もそうなのたけど、津久井湖は岸ギリギリに落とせないとなかなか魚の反応を得られなかったように思う。
    まぁ津久井湖に限らず自分のよく行っていたリザーバーはそんな所ばかり。
    で、正確なアプローチもままならないので岩盤におもいっきりぶつけてしまうこともしょっちゅう。



    そして、津久井湖の岩盤は房総の岩盤みたいに粘土質や砂礫の岩盤と違って遠慮のない本気の岩盤。そうなると一撃でリアのペラも軸も曲ってしまう。曲ったペラは悲しいかな途端に機能しなくなった。
    構造は把握できても原理の知識が曖昧なので、一度曲ってしまったペラを元の状態に戻してやる事もできず、更に角度を付けて曲げてみたり、曲げ戻しのやり過ぎで折角のメッキが剥がれたりと、再び元の良く回っていた設定に戻すことがなかなかできずに毎回かなりのストレスを感じていた。もちろん、へたくそな自分がいけないのは重重承知。



    とはいえ、攻め続ければ当然プラグに対するリスクも増える訳です。
    自分の作るスイッシャーはせめてこの部分は改善したかった。多少当てたくらいではへこたれない、その意味でストレスを感じないスイッシャー作りを目指して。
    パーツは自分では作れない。だからこの情熱をもってペラを作ってくれる工場へ足繁く通う必要がある。お互い全てを理解出来る訳ではないが、理想のパーツを目指して意見をぶつけ合う。温度差を埋めていって形にする。試す。問題がある。調整して作り直す。
    相談に乗ってくれた担当者と試行錯誤。強度だけを追求するならば簡単だ。しかし、丈夫にしたことで肝心の回転に支障があっては本末転倒。その相反するバランス設定の兼ね合いにとても苦労した。
    一度決まりかけたペラの形も二転三転し、蛇行して。そんな時こそ、思いこまないことが大事だと再度強く思いながら。



    当初の完成予定をあえて2〜3ヶ月延ばし、それら気になる箇所を再度検証し、思いついて試せると思う事は全て試す勢いで。
    お陰で沢山の時間がかかってしまったがようやく現時点で納得いくものが完成。


    WS(white spot)

    今まではスイッシャーとなると他ブランドを使わざるを得なかったものが、自分の作ったものを使える。前にも触れたがスイッシャーは出番の多いルアーなだけに、そこが何より嬉しかったりするのです。


    COB (chart back orange belly)

    そして出来上がってみて、自分が欲しいもの使いたいものを作るというスタンスが何よりの説得力と感じた。
    plutonium syrup、6年目にして初のペラもの。

    「brilliant lee」 ブリリアント リー。

    Length : 115mm
    Weight : 26g±


    SYHT (silver yellow head tail)

    見た目の形は一緒ですがフロントとリアのペラ、厚みとサイズが異なります。
    そこはそれぞれの役割と言うことです。
    材はステンレス。メッキ処理ではなく、工場から上がってきたものを一枚一枚手作業で磨いてピカピカに光らせました。この手の製品をよく知る人からはメッキ処理が一般的と諭されもしましたが、地のステンレス材の表情を十分引き出すためにもメッキではなく磨くにこだわりました。とても手間がかかり面倒でしたが。


    GBHG(green black head glitter)

    プルトニウムシロップまたおかしな事やりだしたぞという声が聞こえてきそうですが、それはそれでいいのです。承知でやらせてもらってます。
    兎に角ピカピカのペラが作りたかったのだから。
    まぁ磨きのプロからみたら全然ですけど。


    OWS(orange white stripe)

    メッキはいずれ剥がれます。人の生き様同様、剥がれるメッキよりも磨いてピカピカになったものの方が私的には魅力的なのです。しかし磨く事、想像以上に過酷な作業でした。やってみて分かったのですが塗装などと同様奥が深い。漬け物のぬがどこを育てるのと似てるのではないかと、高速で回転するグラインダーを見つめながらひとり訳のわからない事を考えひたすら磨き続けたのでした。
    ぬかどこ?
    説明するとまた長くなるので割愛。


    FB(flat black)

    現段階での自分理想の及第点は達成したと思っている。ローテーションに加わる頻度も高く出番も多くなるでしょう。
    そんなダブルスイッシャー、
    brilliant lee よろしくお願い致します。

    未だにバイトの瞬間、冷静ではいられない自分がいる。



    The Cure「Friday I'm In Love 」



    plutonium syrup










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